太平洋戦争中に、広島市内の江波から呉の家に嫁いだ女性 北條すずの話。 戦時中の大変な状況の中でも普通に笑顔で暮らしていた彼女たちの生活が、戦況が悪化するにつれ戦争の厳しさに影響されていく。戦争に運命を翻弄されても、周りの人たちに励まされながら、前を向いて普通の生活をしていく人々の様子が描かれる。
前半の日常部分ではおっとりしたすずさんによる、クスッとした笑いを随所に織り込んでいて、期待通りのほのぼのストーリーでしたが、ひたひたと戦争の影が忍び寄ってくる。 物資不足にも知恵と工夫で楽しみながら乗り切っていくすずさんは本当に力強いです。 戦時中のリアルな市井の人々の日常シーンが細やかにリアルに、時代考証も完璧に描かれています。 たくさんの伏線が張り巡らされていて、ああ、これはあの時の・・・と納得できる。それらもとても楽しかったです。 米寿の父に見せてあげたいな。なつかしい風景だろうな。でも映画館に行くのも座って140分も、もうきついかな。
中盤から後半の呉の空襲、広島の原爆、自分の楽しみを奪われ、ささやかな生活まで脅かされる。ショッキングな場面もあり、ラスト近くのあまりの空気の重さにいたたまれなくなってしまいました。 でも、ちょっとした希望と救いはあるラストです。
ヒロインすずさんが玉音放送を聞いた後に、敗戦のくやしさと持っていき場のない感情を家族の前で絶叫するシーンがあるんですが、すごく共感できました。 私も絶叫こそ、しませんでしたが、涙したことがあるんです。
2012年9月 当時民主党の野田政権が尖閣諸島を国有化する直前です。東京都が購入前の視察のための上陸を申請しているのに許可が下りず、中国の船が尖閣諸島の付近を頻繁に領海侵犯しているのをニュースで見た時には悔しくて泣きました。たぶん人々の無関心が一番悔しかったのです。 その後の中国各地の派手な反日デモで世論が高まったのが、私にとっては救いでした。
たくさんの人々に絶賛されている、すずの声の、のんさんの演技は、彼女以外に考えられないほどよかったです。おっとりしているが時にはとても力強い、透明感のある声。 「うちは、ぼーっとしとるけえ」 が最初の口癖の、天然入ってる、すずさんや、戦争に大事なものを奪われるすずさんに、事務所に本名の能年玲奈を奪われたのんさんがオーバーラップします。 いい意味で素人っぽく、本職じゃないけど上手でした。
泣けたか?というと、私は泣きませんでした。もっとお涙ちょうだい的に描くことができるシーンはいくつもあったのですが、物語は淡々と進んでいきます。 涙を期待して見に行った映画でなかったので、私的にはよかったです。
過去記事ですが、映画 「聖(さとし)の青春」はこちらです。↓
https://nanten505.seesaa.net/article/201612article_4.html
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ラベル:映画