サピエンス全史のコミック版、Part2 文明の正体編を読みました。文明の正体、私がうすうす感じていることが書かれてましたが、まあ、知った所で現実は変わらないよなあ、とネガティブな感想が多かったのですが、この本に書かれていた、何故男性優位社会になったのだろうか?の考察が面白かったのでご紹介します。
まず、男性の体力、筋力が理由ではない。男性どうしでも、20代より60代の方が権力を握っていることが多いのが理由です。
男性の攻撃性が理由なのではないか? いつの時代も兵士の圧倒的多数が男性で、結果的に軍隊を牛耳ってきたのはこの攻撃性のせい。男性が政治的権力を握れば握るほど、彼らが始める戦争の数はどんどん増える悪循環。
なぜ女性がトップにならないのか?例外はどこの国にもありますが、生存戦略の違いが原因。男性同士の競争が強くなり、政治的な権力闘争に秀でるような進化を遂げた。
逆に女性は争いごととは距離をおき、夫と子供の世話をするように進化した。
女性の方が身近な人とのコミュニケーション力は強いですが、初めて会う人や離れた場所との商談、契約をまとめるのは、男性の方が得意だった?という説もあるみたいです。
猿の一種のボノボやアフリカゾウは、メスのネットワークに支配される。なぜこうならなかったのか?
以下は私の推測ですが、女性は成人すると、産む子どもの数にもよりますが、妊娠と子育てで10年から15年、時間とエネルギーを奪われる。人間の子どもの成長に非常に時間がかかり、出産自体と子供の死亡率の高さのリスクもあり、種の保存のために多産を強いられる身体だから。
また、権力を持つためには情報と知識(教育)が必要。共同体が大きくなればなるほど、情報量は膨大になる。女性には教育の機会が、上記の理由から、殆ど与えられなかった。
歴史上の女王というと、卑弥呼やエリザベス一世などの、独身で子どもがいないイメージです。マリア・テレジアのような多産な女王も一部にはいましたけど。
まあ、私の推測なんて誰でも考える常識だろうから、わざわざ本に書かないんでしょうが、なぜ男性優位社会になったのか?という質問自体が、私には思ってもみない、斬新なものだったので、改めて考えさせてくれたテーマをくれた本でした。
サピエンス全史(1)ユヴァル・ノア・ハラリ