2021年09月05日

茶豆ご飯でなく、翡翠めし

 前回の清川妙さんと吉沢久子さんの書簡集のお話で、今回は吉沢さんの方です。2019年に101歳でおなくなりになった吉沢さん。過去記事でも取りあげましたが、1984年に旦那さんを亡くされてから30年以上ずっと一人暮らしでした。

 80過ぎから20年ほど、甥の妻という方が週1でお手伝いに行かれていたらしいです。この書簡集はおそらく吉沢さんが80代半ばに書かれていたもの。当然一人暮らしの時です。

(以下引用)

 よく私は、自分で三食全部作っていることについて、こんな風に言われます。大変じゃないですか。面倒でしょう。でも、私はおいしいものが食べたいし、作ることが好きなので、台所に立つことは面倒ではないのです。ただ、急ぎの仕事があるときはその楽しみを割愛して仕事のほうを優先します。

 うーん、えらいなあ。さすが101歳までの一人暮らし。私も食いしん坊で美味しい物が食べたいけれど、「作るのが大好き!」とまでは言えない。でも世の中には、「台所に立つのが大好き!」な人が存在しますね。知人にも何人かいます。有名人だと栗原はるみさんとかかな。彼女の体型からは、食いしん坊には見えない。作って、食べさせてあげるのがお好きなんでしょうね。すごくマメに体を動かす人だと雑誌で読んだこともあります。お掃除も大好きだから太らないんでしょうね。私と違って。

 どんなものを食べていたのか、という描写もまた引用してみますね。(以下引用)

 この手紙を一生懸命書いているうちに7時。お米だけは仕掛けてありましたので、塩とお酒を加えて炊き上げつつ、新潟の友人から送っていただいた旬の茶豆を茹で、莢から出しておいて、青々とした豆をごはんの一部分に混ぜました。「翡翠めし」と、ひとりで悦に入って、美しいご飯をたっぷり愛用の茶碗に盛りました。

 おかずは、冷蔵庫にあり合わせがたくさんありますので、明太子、昨日、干し貝柱のだしで煮て冷やしておいた冬瓜、それに、なすの漬物。あつあつのごはんにはどれも美味しくて、ごはんの食べすぎでした。デザートには小玉西瓜。次は、ちゃんとした献立の時、お知らせしますね。(引用終わり)

 茶豆とは、枝豆のめっぽう美味しいもの。新潟市西区の黒崎産が有名です。茶豆ご飯と言わず、「翡翠めし」が粋ですね。ちゃんとした献立ではない、と暗に書いていますが、いやあ、これは無茶苦茶美味しそう。きっと明太子もなすの漬物も美味しいものを、ご購入されているとみました。漬物は手作りかもしれませんが。

 活字で美味しそうなものの表現が、気になり始めてきました。若いころは気にも留めなかったのに、不思議です。映像で視覚で訴えてくるグルメ番組はあんまり好きではないのですが、理由は私の口に入る可能性がほとんどないから。

 自分が行けそうな範囲の地元のグルメ番組は好きなんです。活字の方も条件は同じはずなのですが、想像力が働く余地があるのが私的にいいのかもしれません。池波正太郎さんとか、食べ物の描写に定評があります。今度読んでみようかな。

 下の写真は、表紙が同じだったのですが、本ではなく、オーディオブックのリンクでした。

生き方の知恵 - 吉沢 久子, 清川 妙, 中村 久美, 中島 ゆかり, オトバンク
生き方の知恵 - 吉沢 久子, 清川 妙, 中村 久美, 中島 ゆかり, オトバンク


前回記事ですが、おなじ本の清川妙さんのお話です。美しいお手紙
https://nanten505.seesaa.net/article/202109article_1.html


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posted by ひろん at 20:33| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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