要は心臓と肺が止まって目の瞳孔反応が消えても、体中の細胞が死に、細胞の集合体の臓器が停止するまでにしばらく時間がかかるということでした。それは脳死のケースでもそうです。死、というのはグラデーションで、人体に限らないのかもしれませんが、何時間か時間をかけてゆるやかに、体全体に「死」が広がるのですね。
脳死患者が心肺停止になってから、脳の神経細胞の活動が異常に活発になることが明らかになりました。脳の神経細胞が血流が止まって次々に死んでいく異常事態の時、活動が活発化する。線香花火の最後の煌めきのようなものらしく、神経細胞から様々なものが放出されるそうです。
脳内麻薬と言われるホルモンのエンドルフィンも出ます。モルヒネのような鎮痛作用と多幸感をもたらす神経伝達物質が、脳の異常興奮のなかバンバン出る。
生き返った人々が語る、いわゆる臨死体験、死者のお迎えやお花畑、三途の川などを見たというのは、この時の脳の異常興奮の中のものなのではないか、という推測が面白かったです。
死後4時間たった豚の脳を人工血液と神経細胞を循環させる装置の中に入れると、最大6時間、神経細胞の働きが持続する実験が行われています。東京都医療センター研究所の研究をしている方がおっしゃっていました。
生きている脳のまま脳だけで人間の意志が存在するのか?、生死の境がなくなるのでは、というコメントが怖かったです。よくSF映画に出てくる、パイプや電極がたくさんついていて、ガラスの円筒の液体の中に、脳が浮いているやつですね。
脳だけでは五感を感じる器官がありませんが、脳のある部分にある種類の信号を送ればその脳を永遠にいじめまくることが可能になるんじゃないですか。それが怖ろしい。私にはその脳を幸せにする目的で脳だけを生かすなんて思えません。
過去記事ですが、NHKドキュメンタリー ヒューマニエンス「“がん” それは宿命との戦い」
https://nanten505.seesaa.net/article/202105article_2.html
がんの回の再放送があるみたいです。5月31日(月)午後11:45ほか 放送予定
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ラベル:テレビ