なぜ人間の一生は体力のピークと精神的成熟のピークがずれているのだろう?という疑問を持っていましたが、この番組で謎が解けました。
NHK ドキュメンタリー ヒューマニエンス 思春期です。
思春期というと一般的には十代を指しますが、最新の脳科学的には30代まで続くと言います。脳神経線維のミエリン化が終了すれば思春期が終了。年齢の個人差はありますが。
思春期の特徴と言えば、ホルモンの分泌のせいで心も体も不安定。理由もなく怒る、殻に閉じこもる、危ないことを好む。
この十代、二十代の無茶で無鉄砲な行動力は、人類にとって必要なものだった。アフリカを出たホモサピエンスが、ユーラシア→アジア→アメリカと世界中くまなく移動したのはこの思春期のおかげ。
チンパンジーの生涯の行動範囲は10平方キロメートルですが、パラグアイのアチェという採取狩猟民族の生涯行動範囲は1500平方キロメートルだそうです。迷って帰れなくなると命の危険がある冒険に、後先を考えず感情の赴くままに向かえる年代が思春期。新しい狩場を得られるリターンと危険と隣り合わせのハイリスク・ハイリターンの行動は、この人間の思春期のおかげだというわけです。
思春期に分泌される性ホルモンは脳の偏桃体と側坐核に作用します。偏桃体は感情の振れ幅が大きくなる。側坐核は欲求が高まる。今、ここでやりたいことをやる、という脳のアクセルを踏むのが性ホルモンだそうです。
脳のミエリン化は神経細胞に脂肪が巻き付くこと。脳全体の神経細胞のミエリン化が終了すると、無茶をする部分と抑制とを繋ぐ役割をします。伝達能力はパワーアップしますが、脳の処理がルーティ―ン化され、融通が効かなくなる。大人になる、ということでしょうか。
アチェの生涯行動範囲が1500キロだったという話を聞いて、初めて見る景色は脳のごちそう、という言葉を思い出しました。
人類の進化に必要な機能だった思春期ですが、人間の脳はとても柔軟性がある。ミエリン化が終わっても何かを学び、習得することはできます。私は思春期はとっくに終わっていますが、精神的成熟を目標にしたいと思います。
過去記事ですが、初めて見る景色は脳のごちそう
https://nanten505.seesaa.net/article/202005article_7.html
にほんブログ村
にほんブログ村