2018年05月09日

知性を磨く文章の書き方 木村治美

  1999年と古い本ですが、私の人生を変えた最初の本「黄昏のロンドンから」 木村治美さんの本なので読んでみました。 タイトルは’書き方’とありますが、エッセイの書き方についてのエッセイ、といった風味の本。 具体的なハウツーはそんなにありませんが、今80代半ばの、エッセイの大先輩の知っていて損はない文章術や、共感できる部分は沢山ありました。

 抜粋 

 書くことがなくて、締め切り日を前に悶々とする。 一冊の本を書くということは、長期にわたる病との戦いのようなもので、実に酷く、くたくたになる仕事。 自分でも正体がわからない悪魔にでも取りつかれない限り、こんな仕事に手を出そうとする人間はいないだろう。

 水が後から後からこんこんとわき出してくるように、書くことによって連想は連想を呼び起こし、思いもかけない広がりを見せるもの。 

 と木村さんは仰っていました。 書くことで報酬を得ているプロならではの悩みでしょうか。 小説や物語でなくても書くことって大変なんだなあ。 同時に書くことの楽しさについても妙に共感してしまいました。

 また、書く動機を明確にすること、特に昔のことは要注意。 何故今更書くのか? 書き手が解っている必要がある。 とか、時間の経過を読み手に分かりやすく書く、とか、ヤマを決める、などあまり私自身意識していなかったことも教えてくれました。 ヤマ、というのは起承転結の転の部分なのか、小学生の国語の授業ではないけど、作者が”一番言いたいこと” なのかな? 
 
 うーん、自分ではタイトルとともになんとなく考えているような気はするけど、果たしてきちんと書いているか甚だアヤシイですが・・・。 起承転結は今まであんまり考えないで書いていましたね。 これからもそんなに考えないと思います。 木村さん、結びの言葉はいらない、って言っているけど、私は結構考えます。 結論が欲しいというか、オチがないとなんか寂しいですね。

 つらつらと書くことを考えさせてくれたエッセイでした。 

過去記事ですが、私の人生を変えた本一位 「黄昏のロンドンから」 紹介 ”はじめまして”↓

 https://nanten505.seesaa.net/article/201610article_1.html


 
知性を磨く文章の書き方
PHP研究所
木村 治美

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2018年05月04日

小説 ミッドナイト・バス

 映画の方を先に観ました。 県民なので新潟の景色と映像の美しさは楽しめましたが、登場人物全てに感情移入できませんでした。 登場人物はみな臆病で傷ついた過去を持ち、家族も恋人同士も表面を取り繕って本音を言わない。

 期待せずに原作を読んだら、余りの面白さに驚きました。 映画よりはるかに面白かった。 結末は解っているのに、ストーリーの先の描写がすごく気になる。 作者の力量は流石です。 500ページ近い長編ですが一気に2日で読破してしまいました。
 
 小説あらすじ (「BOOK」データベースより) 
故郷に戻り、深夜バスの運転手として働く利一。子供たちも独立し、恋人との将来を考え始めた矢先、バスに乗車してきたのは、16年前に別れた妻だった。会社を辞めた長男、結婚と仕事で揺れる長女。人生の岐路で、忘れていた傷と向き合う家族たち。バスの乗客の人間模様を絡めながら、家族の再出発を描いた作品。

 映画のレビューで原作を絶賛していた人がいたので、原作を買ってみたら文庫なのに千円近い。ハズレたら嫌だなと思いながら読んでみたら、あの映画は原作を忠実に再現していたのだなと今更ながら理解しました。

 この小説は、人の弱さを描いた作品なんだ。 ちょっと精神的に病んだ人達の群像劇なんだというのが映画を見た時には分からなかったんです。 小説で理解できました。 でも結末は、それぞれの登場人物の再生。 特に主人公リイチの家族の再生が描かれていて、救いがあります。 

 たんたんと過ぎる平穏と思えた日々がある時まとめて脆く崩れる。大きな出来事やストーリーの起伏はないのに、人物の心情が柔らかい文体できめ細かく、リアリティを持って描かれています。 小説の方が描写が丁寧で細やかなので、喜び、悲しみ、不安、別れ、涙、無言のうつむきなど、登場人物の全ての感情を読み手が共有できます。 ラストに感動、というより、作者の語り方の巧みさに私の気持ちも引き込まれた作品でした。

 人の弱さが描かれている、といっても、やはり主人公の言動は無責任ですし、主人公に限らず、登場人物がみな小説の方がより自己中に描かれているかも。 でも全員悪意を持ってしている言動ではなく、素直になれないというか歯車がかみ合わないというか、「やむを得ず」感が小説ではきちんと説明できているように思えました。

 群像劇というか、本当に描かれた人物の人数が多すぎて冗長すぎるきらいはありますが、私はそんなに嫌ではなかったです。映画で描かれていない人たちの結末もすごく気になりましたし。 でもまあ、なくても良かったかな、というエピソードもあったんですが。

 また映画が見たくなったんですが、一月下旬封切でゴールデンウィーク前までやっていたのですが、新潟でもさすがにロードショーは終わってしまいました。 残念。レンタルが出たら見ることにします。

 
ミッドナイト・バス (文春文庫)
文藝春秋
2016-08-04
伊吹 有喜

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2018年05月02日

走るミュージアム・現美新幹線

 新潟駅―越後湯沢駅間、世界最速芸術鑑賞、現美新幹線です。7両編成で各車両ごとに一人のアーティストが車内の内装をアートで飾っています。 外観を入れると8人のアートが楽しめます。 

 高架を走っているのは何度も見ていた現美新幹線ですが、正直、自分では乗ってみたいとまでは思いませんでした。 GWの部活のスケジュールが25日まで出ず、何も計画できなかったので、鉄オタの息子に提案され、まあ、いいかと乗ってみました。

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 新潟-湯沢間、 時間は50分弱くらい。 GW前半最終日なので、混雑を覚悟して行ったのですが、かなりゆったりでした。 この車両で激込みだと息が詰まりそうなのでちょうどよい人数でした。 乗っているのは、意外と男女問わないお一人様や幼児をつれたファミリー層、シニアご夫妻と、世代を問わない顔ぶれ。

 7両のうち、指定席があるのは先頭車両のみ。 みどりの窓口で、係員さんに座るところがたくさんあるので、指定席でなくても大丈夫ですよ、と言ってもらえたのですが、混雑を懸念して指定席にしました。 実際は余裕でソファなどに座れた感じでしたが。

 列車は在来線サイズで小さいのですが、 指定席のシートは左右2×2でグリーン車なみのゆったりシート。 通常の¥500の指定席料金でお得なシートでした。 車両の幅が狭いので、ドアの外側にホームとの間にステップがありました。 初めて見たので面白かった。

 車内にカフェコーナーもあり、みなさんスタバのような透明なストローを刺したプラカップを持っています。 ドリンク、スイーツ、お酒もあった記憶が。 日本酒、ワイン、はありました。 ビールあったかな? 

画像
 

 写真は三条エールと雪下人参のキャロットケーキです。 三条エールは微炭酸のコーラみたいな感じ。 三条の鍛冶職人の情熱を表現した黒(赤茶?)の飲み物。 雪下人参は魚沼産や十日町産が新潟では知られています。 

 キャロットケーキはお菓子研究家のいがらしろみさん監修。 ただのパウンドケーキだろうと思って食べたら、すっごく美味しい! 感動しました。 写真もきちんと見せてとれば良かったかな。 ナッツと洋酒とシナモン等のハーブの配合が絶妙。 この種のパウンドケーキは新潟ではなかなか食べられないです。 繊細な都会の味。 東京では結構美味しいパウンドケーキ屋さん、昔は何件か知っていたんですけどね。

 アートを見るために新幹線のお値段を払うより、美術館へいったほうがはるかに安いので、アート目当てに現美新幹線に乗る人はあまりいないだろうし、アート自体は私もあまりよくわからない。 でも普段と毛色の違う新幹線で、 鉄子としてはなかなか楽しい列車でした。

 せっかくアルコールがあるので、もう少しカフェのフードを充実させるといいかも。 でも時間的な問題もあり、食堂車のように、どっかり座ってお食事、という訳にはいかないし、車内のお掃除の都合とかあるかもしれませんが、 持ち歩けて軽く食べられる美味しいフードがもっとあるといいなあ。

こんな感じで、進行方向向かって左側が窓がなくアートで、右側が窓とソファをはさんで通路になっています。 指定席の先頭車両以外は全部そんな構造でした。

画像


過去記事ですが、SLばんえつ物語号のイベントに遭遇!↓
https://nanten505.seesaa.net/article/201804article_2.html



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