漫画に登場する認知症のおばあちゃん、みつえさんは笑顔がカワイイ。トイレの大を流し忘れたり、夜の駐車場で仕事から帰るペコロスさんを立って待っていたり(徘徊チック)、介護あるあるな話もありますが、エグいエピソードはありません。 みつえさんの中で時が交錯し、娘時代、子育て時代、50代くらい、と四コマと短編漫画ですが、色々な時代に話は飛びます。 この辺りは完全にファンタジーですが、 私には全編ファンタジーに感じます。登場人物がみんないい人だからでしょうか。
この作品には可愛らしさと明るさと、そして暗さに独特な味わいがあります。 決して上手な絵ではないけれど、フリーハンドなでこぼこ線に温かみがある。 その線から時々紡がれる暗さ、得体のしれなさがよい。
例えば、みつえさんの旦那さん(みつえさんが呆けた時には既に亡くなっている)の臨終?のときには、お迎え(死の使いか?)が窓の外の雪と溶け合って消えてしまうところとか、みつえさんの幼なじみのちえこばあさんが逝ってしまう時には、みつえさんが老人ホームで10代のちえこと自分を思い出しながら、窓の外にトトロのバスのような昔のバスが走っていたり。 現実と登場人物の脳内の境目が読者にもわからない。それが良いのでしょう。ベタ(インクの真っ黒)の部分とうす墨の部分が中々不気味なのは表現力の巧みさですね。
漫画も面白かったけど、漫画の間にエッセイが何篇かあって、それも良かったです。 もともと作者は東京で編集の仕事をしていた方とか。
あと、みつえさんが喋る長崎弁が、母方の祖母の声で再生されて懐かしかったです。祖母は長崎出身だったので。 住んでいたのは博多でしたが。 2013年に映画化されているようなので、DVDも観たいな。と思っています。
過去記事ですが、私の介護の現状 人にしてあげられる幸せです。 ↓
https://nanten505.seesaa.net/article/201704article_8.html

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