2017年05月14日

漫画 ペコロスの母に会いに行く

 認知症の同居の義母にちょっと精神的に疲れている時に、この漫画と図書館で出会いました。最初の四コマ漫画をパラパラっと見て、面白そうだな、と。 確かに面白かったのですが、ファンタジーとして面白かった。 家族への深い愛情が感じられるほっこりした作品です。でも私はペコロスさん(作者)のような境地になれないなあ、と。  私の場合、実母が認知症だったらわからないけど、義母には愛情はありませんから。

 漫画に登場する認知症のおばあちゃん、みつえさんは笑顔がカワイイ。トイレの大を流し忘れたり、夜の駐車場で仕事から帰るペコロスさんを立って待っていたり(徘徊チック)、介護あるあるな話もありますが、エグいエピソードはありません。 みつえさんの中で時が交錯し、娘時代、子育て時代、50代くらい、と四コマと短編漫画ですが、色々な時代に話は飛びます。 この辺りは完全にファンタジーですが、 私には全編ファンタジーに感じます。登場人物がみんないい人だからでしょうか。

 この作品には可愛らしさと明るさと、そして暗さに独特な味わいがあります。 決して上手な絵ではないけれど、フリーハンドなでこぼこ線に温かみがある。 その線から時々紡がれる暗さ、得体のしれなさがよい。

 例えば、みつえさんの旦那さん(みつえさんが呆けた時には既に亡くなっている)の臨終?のときには、お迎え(死の使いか?)が窓の外の雪と溶け合って消えてしまうところとか、みつえさんの幼なじみのちえこばあさんが逝ってしまう時には、みつえさんが老人ホームで10代のちえこと自分を思い出しながら、窓の外にトトロのバスのような昔のバスが走っていたり。 現実と登場人物の脳内の境目が読者にもわからない。それが良いのでしょう。ベタ(インクの真っ黒)の部分とうす墨の部分が中々不気味なのは表現力の巧みさですね。

 漫画も面白かったけど、漫画の間にエッセイが何篇かあって、それも良かったです。 もともと作者は東京で編集の仕事をしていた方とか。 

 あと、みつえさんが喋る長崎弁が、母方の祖母の声で再生されて懐かしかったです。祖母は長崎出身だったので。 住んでいたのは博多でしたが。 2013年に映画化されているようなので、DVDも観たいな。と思っています。

過去記事ですが、私の介護の現状 人にしてあげられる幸せです。 ↓
https://nanten505.seesaa.net/article/201704article_8.html




ペコロスの母に会いに行く
西日本新聞社
岡野 雄一

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ペコロスの母に会いに行く の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル





にほんブログ村

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村
ラベル:生活
posted by ひろん at 10:56| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。