聖の青春は、大崎善生さんのノンフィクション小説「聖の青春」(角川文庫、講談社文庫)が原作で、「東の羽生、西の村山」と称されるほどの実力を誇りながら、難病のため29歳の若さで亡くなった村山九段の生涯を描いている。
幼少期から難病(ネフローゼ)を患う村山聖は、入退院を繰り返す中で将棋と出会い、15歳で森信雄に師事する。10年後、名人になる夢をかなえるべく上京した聖(松山ケンイチ)は周囲に支えられながら将棋に全力を注ぎ、七段に昇段したころ、同世代で名人のタイトルを獲得した羽生善治に激しいライバル心を抱く。さらに将棋に没頭する聖だったが、癌が彼の体をむしばんでいた。
原作ではそれほどページを割かれていない天才羽生善治と村山聖との対局をメインに描いたせいでしょうか。映画で出てくるシーンの時系列とか意味がなんか原作と違う・・・。という違和感があったり、説明不足感が否めなかったり。 原作がある映画はたくさん見てきましたが、ここまで違和感を感じる映画は珍しい。 将棋や原作を知らない人の方が先入観なく楽しめそうです。
例えば、彼は泌尿器系疾患なのに、深酒や麻雀、牛丼やカレーなどいかにも体に悪そうなファストフードばかり好んでいたり、無茶苦茶荒れた生活をしているのが描かれているのですが、 抑圧された、孤独な少年時代の入院生活の反動だったりするのです。そこを省略されてしまったら、あれなら癌になるのもしょうがないねと観客が誤解してしまいます。 よく見れば原作と登場人物の名前が違ったりしてるので、原作をもとにしたフィクションなのでしょうか。 映画では原作と違う橋口さんという名前の東京での聖のお世話役が原作者の大崎善生氏ですね。
まあ、納得できない部分はたくさんあった映画ですが、主演2人を含む、俳優陣の演技はお見事でした。松山ケンイチは20キロ増やしての熱演でしたし、東出さんは個人的に不安だったのですが、ヘアメイクと羽生さん本人の当時の眼鏡と対局時のしぐさが本人そっくりで神経質な感じがよく出ていて、演技の苦労も垣間見えました。 セリフがあんまりない役だったのも幸いでした。
松ケンのひたむきな熱演で、早死にした主人公の無念さや壮絶な生きざま、将棋に対する情熱、火花散る対局などは表現できていたし、周りの人々の温かさも原作ほどではないけど、伝えていたのではないかと思います。 原作の入門編としての映画として、お勧めです。
原作の方がすべて丁寧に描写されています。 しかし、将棋雑誌を編集されていた大崎氏のデビュー作なので、ちょっと文章が私には読みづらいです。棋譜を説明されてもチンプンカンプンですし。 私の将棋は小学生で終わってるので、ルールさえ怪しいので。
この本は速読のテキストとして出会いました。きっと将棋好きな先生の趣味だったんですね。 読みづらさ以上の感動をくれた奇跡の実話です。
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